グループブランディングの視点は大きく分けて2つあります。それは、
(1)グループ内求心力の醸成、(2)ブランド体系の整理です。
事業ドメインごとなどに企業分割を行って、複数の企業の集合体を成す形でグループは形成されてきました。その過程で、もともと一つの志を持った組織であったものが、それぞれの事業に邁進し、ドメインの特性や市場、顧客に合わせて個社の歩む方向が変化してきます。
その結果、個社ごとのビジョンや提供価値が生まれ、グループとしてのまとまりが無くなっていく、という事態が起こるのです。他方、グループ企業間でそれぞれの技術や営業力を持ち寄るなどして、新技術開発や市場開発を行う。
つまりグループ内の協業を推進することで、新しいムーブメントを起こしたり、大型のプロジェクトを受注していくといった「グループ経営」が注目されています。
そこで原点に戻って、グループ理念を再構築し、グループ全体としての提供価値を明確にする(社会的な価値を打ち出すなど)、さらに個社のグループ内における役割を明確にする、などのコンセプト再定義型ブランディングに取り組むグループが増加しています。
もちろん、企業買収が頻繁に行われるようになった昨今ですが、グループ傘下に新たに加わる企業に、早くグループのカルチャーを共有してもらうべく、ビジョン、ミッション、アクションなどを明確に定める乃至は定め直すケースも増えています。
こうしたブランドコンセプトは、グループインターナルブランディングで共有を促進していきます。
もうひとつの課題は、ブランド体系の整理です。ホールディングスやグループを親のブランドとし、事業会社を子ブランドとしたときに、相互にEndorsing(親が子を保証)、Lifting(子が親を支援)の関係を円滑に築くことが肝要です。
そこで、グループ全体と個社のブランドネーム統一を図るケースがあります。これは親ブランドから見た際の孫会社にまで広げて考える必要があります。
幅広いブランド接点で、同じ規則性(主部+拡張子)のある名称を使用することで、同じグループと認知されやすくなり、バラバラになりがちなブランド接点をつなぎ、一つの大きなパーセプションを得ることが可能となるわけです。
翻ってこのブランド体系整理は、(1)で挙げたグループ企業間の一体感を醸成することにも繋がります。
グループワンブランド、ワンボイスを追求することで、主部ブランドのみを売り込むことによってコミュニケーションコストを絞り込める一方、効果的に認知を高めていくことが出来るようになります。つまり、グローバルな展開力を強化するというメリットももたらしてくれるのです。
なお、子・孫の起こした問題は、直接親のブランドを直撃することから、共通の理念や行動指針を個社でもしっかり教育する、(1)と同様のインターナルブランディングが、この体系整理に伴って重要となります。