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パーパスブランディング

Purpose branding with BrandModel®
今一番大切なこと。
そのブランドに、パーパス(存在意義)はあるか?

パーパスへの潮流

日本企業は、世界市場で戦えるブランド力をより一層高めていかねばなりません。顧客だけでなく、社会にも受け入れてもらえる企業であることが、これからの時代にはとても大切になります。特にWith/After CORONAでは「そのブランドと関わり合うことには、正しい理由が要る」という時代になりそうだからです。
グラムコは2019年、日本企業の歴史を紐解き、「企業活動を律するもの」が何であったか、時代の変遷とともにどう移り変わったかを研究しました。「家訓」の時代から始まり、「殖産興業」「戦後復興」「高度経済成長」などの時代を経て、近年では「株主価値の最大化」~「持続可能性」時代へと進んできました。今、世界はパンデミックで深い不安と先の見えづらい不確実性に晒されています。With/After CORONAを見通せば、この持続可能性の追求が、これからもますます重要な企業の指針となっていくと思われます。SDGsへの企業 の関与にしても、そうした流れの一環となるでしょう。
この持続可能性追求時代の企業経営基盤に据えるべきものが何かといえば、それがパーパスなのです。

ミッションとパーパスの違い

74~99年は、日本企業にとってオイルショックなど、厳しい試練の時代でした。ピーター・F・ドラッカー(経営学者)は、経営の中枢に「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」を据えることを提唱、「MVV以外はすべてアウトソーシングできる」とさえ言い切りました。ドラッカーが日本の経営者に及ぼす影響力はとても強く、高度成長期に企業が拠り所としてきた「社是」「社訓」「綱領」などが、このころから一気にミッション(使命)に置き換わっていったのです。ただ長い期間が過ぎて、このミッションにも綻びが目立ち始めました。
ミッションの語源はラテン語で、「イエス・キリストが弟子たちに与えた使命」に由来します。中国思想の「天によってこの世に仕わされた」という天命に近い言葉だとの解釈もあります。ただ天から授かったものではなく、実際には多くの企業が、あまり自社の活動とは結びつきのない、そして他社と似通った曖昧なミッションを掲げるようになったのです。 ある著名だった日本の大手企業は、『私たちは世界のひとびとになくてはならない存在でありたい』という言葉を掲げましたが、既にその会社はなくなってしまいました。
『敬意・誠実さ・コミュニケーション・卓越性という4つの主要なバリューを心にとめて、すべてのビジネスを行う。そしてビジネスにおけるすべての取引は、オープンで公正な環境の中で、行われなければいけない』とミッションで高らかに謳い上げたのは、かの米国のエンロンでした。

世界で、日本でパーパスが広がる

真剣に熟考を重ね、自らの言葉で自分らしいミッションを掲げる企業がないわけではありませんが、サスティナブルを求める時代に問われているのは、「その企業が存在し、業を営む本質的な理由」です。
日本では、ソニーがパーパスとして『クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。』と彼らのウェブサイトのトップで述べています。私どものクライアントの東芝も、『新しい未来を始動させる。(We turn on the promise of a new day.)』を存在意義と定め、「世界をよりよい場所にしたい。それが私たちの変わらない想いです」と表明しました。
グローバルでは、GEが、IBMが、P&Gが、ネスレが、SAPが、Appleが、そして多くの顧客や社会に支持されている企業が、同様にパーパスを明らかにしています。
企業がその企業でしか成し得ないことを考え抜き、明日なくなってしまったら人々が困ると言ってくれるような成果を届けて、一人ひとりの社員が「このことのために自分はここで仕事をしているのだ!」と心底から思えるようなパーパスを考えるときです。

パーパスを説く人たち

フェイスブックの創設者、マーク・ザッカーバーグは、ハーバード大学で行った講演において「パーパスは、私たち一人ひとりが、小さな自分以上の何かに関わっていると感じられる感覚です。パーパスが真の幸福感をつくるのです。」と語りました。自分が必要とされているのだ、その事業に携われることが大切なのだ、と話したそうです。 『WHYから始めよ!』の著者として知られる作家のサイモン・シネックは、パーパスについてこんな風に説いています。
“自分が今していることを、している理由(WHY)。これを明言できる人や企業は少ない。ここで留意してほしいのは、このWHYには「お金を稼ぐため」という理由は含まれない。それは結果に過ぎない。私がWHYと問うとき、それは、あなたの目的はなんですか、大義や理念はなんですか、と尋ねているのだ。なぜ、あなたの会社は存在しているのか?なぜ、あなたは毎朝、ベッドから這いだし、会社に出勤しているのですか?”

パーパスを中心に据えたブランドモデル

整理しましょう。

  • パーパス(存在意義)
    なぜその事業や企業活動を行っているのかという、原点や社会的意義を示すもの。
  • ビジョン(目指す姿)
    当該ブランドが描く将来の目指す姿。企業の到達イメージであり、関わる人々すべてにとっての活動のベクトルとなるもの。
  • 提供価値
    当該ブランドが、ビジョン実現に向けて、ステークホルダーに提供を約束する機能・情緒両面での価値。また競合との差異化となる独自優位性。
  • パーソナリティまたは価値観
    上記価値を提供するブランドとして備えているべき人格や個性(らしさ)。ステークホルダーに対する振る舞いの指針や、コミュニケーションのトーン&マナーにもつながるブランドの世界観を示すもの。
若者の支持を集めよう

最後に触れておきたいのは、企業がどんなパーパスを掲げていて、それをきちんと遂行しているか、興味を持って見つめている世代がいるということです。それが「ジェネレーションZ」(ジェンジーなどとも言います)、1997年から2009年ごろまでに生まれた人たちで、これから社会に出て中核を担うようになる世代です。彼らは完全なスマートフォン、SNS世代であり、彼らの3人中2人(66%)が、当該ブランドの社会的なかかわりを知ることで、ブランドの印象に「前向きな影響」を受ける、つまり、パーパスが明確な企業への好意度が高い世代と分析されています。その上の世代であるミレニアル世代(1981年~96年生まれ、ジェネレーションY)もソーシャルメディア世代であり、且つ社会意識が高く、ジェンジーと同様の傾向を持っていると言われています(カンヌライオンズ2019年レポート)。
社員が企業活動への前向きな参画意欲を高めるインターナルブランディングにも、今後社会に出て活躍する人たちや、働きざかりの人たちに対してのエクスターナルブランディングにも、そして世界を惨禍に陥れたコロナで変わる人々の価値観に対しても、「パーパス(存在意義)」を示していくべきときです。

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