コーポレートブランディングやグループブランディングとともに、最近事案が増加しているのが、事業ブランディングです。ブランド投資にあたって、新規事業の立ち上げや、収益が悪化している既存事業をリバイタルする、といった観点からのブランディングのご依頼が増えています。
プラウドは野村不動産の、ユニクロはファーストリテーリングの事業ブランドですが、そこまで存在感が大きくなくても、多かれ少なかれ企業は、事業のブランドを保有されています。
大型の事業ブランド構築には、コーポレートブランド同様の構築手法が採用されていますが、一般的には事業のブランドへの投資は、これまで十分とはいえませんでした。ある意味で正当なブランド視点は軽んじられてきたといっても過言ではありません。
コーポレートブランドが、傘下事業の強力なエンドース機能を果たしている損保ジャパン(現損保ジャパン日本興亜)の場合、確かに事業ブランドへの投資はあまり考えなくていいかも知れません。例えば同社の自動車保険には、ONE-Step(ワンステップ)というシンプルな名称が付与されていますが、損保ジャパンの自動車保険と認識されていれば、ワンステップの著名性を高めるために、過大の投資は必要ないでしょう。
他方1つの例ですが、ある食品メーカーが、あらたな事業として健康補助食品分野を開拓するとなると、この事業ブランドの構築には応分の投資が必要となります。なぜなら、新事業においては、たとえ基盤技術は同じであったとしても、異なる市場で異なる顧客にアプローチしていかねばならないからです。そのためには、コーポレートとしてのコンセプトは踏襲しながらも、独自のブランド力を保有する、「別個の」ブランドが必要となるでしょう。
あるいは、ホテル事業を持つ某企業が、これまでの一般的なビジネスホテルだけでなく、スタイリッシュで若者や女性にも好まれるホテルを別ブランドで展開することになった場合でも、一定のブランド投資は必ず必要となります。
新規事業の立ち上げにおいては、緻密な市場分析・顧客分析・競合分析と、新事業の価値定義を、あらかじめ明確化しておかないと、事業推進途上で関係者間にブレが生じたり、結果的に市場やターゲットにヒットしない、あるいはスムーズに受容されないという残念な結果に直面する可能性があります。また、同じ分野で別ブランドを発足させる場合には、既存事業とのカンニバル(共食い)を惹き起すリスクも回避しなくてはなりません。
私たちグラムコは、事業の強化や新事業の立ち上げにおいて、早期の投資回収を実現するためにも、収益性や売上向上にシビアな目を向けたブランディングを、マーケティングの確かな視座をもってお手伝いしています。