りゅうせきグループは1950年に沖縄で戦後初の民間石油供給会社として誕生しました。沖縄県は南北約400㎞、東西約1000㎞に渡る、非常に広大な県であり、多くの島が点在しています。りゅうせきグループはこの沖縄県全域において石油・ガスを提供し、地域のエネルギーインフラの一翼を担っています。
さらに、環境・エネルギー分野に留まらず、IT関連、建設、食品卸、介護など、沖縄地域において幅広いサービスを提供しています。りゅうせきグループはこれらの多岐にわたる事業を通じて、沖縄の人々のくらしとビジネスを包括的にサポートし、地域社会の発展に寄与しています。将来に向けても、持続可能な成長と地域コミュニティの発展を目指し、さまざまな分野での積極的な活動を展開しています。
りゅうせきグループは、長年にわたり沖縄県内でエネルギー供給を中心に事業を展開し、その成長により一定の事業規模に達し、地域社会でも認知される企業となりました。しかし、新たな時代に向けた挑戦が求められる中で、組織内には閉塞感が漂っているという課題が浮上しました。特に、1991年に導入したコーポレート・アイデンティティ(CI)は、現代の価値観やニーズに合致しておらず、その機能性にも限界を感じていました。過去10年間、組織の進化を目指して様々な取り組みを行ってきましたが、変革は完全には達成されませんでした。
そこで今回、全体のブランドコンセプトを見直し、新たな基盤を築くことに至りました。今回の刷新は、りゅうせきグループの豊富な歴史と経験に基づき、未来への強い意志を示す重要な一歩です。新しいブランドコンセプトの導入により、組織全体が結束し、持続可能な成長と地域社会への貢献をさらに推進していくことを目指しています。りゅうせきグループは100周年となる2050年においても地域社会から選ばれ続け、世界市場にも挑戦できる強い企業へと成長することを目指し、創立73年目を迎えた2023年、新たなCIを策定しました。
りゅうせきグループは、創業者精神である「社業の公共性に徹する」という考えを大切に受け継いできました。しかし、時代が進むにつれ、創業者精神の解釈にばらつきが生じていました。今回のブランドコンセプト刷新の背景には、この理念をより明確化し、次世代に継承していくための整理が必要だという認識がありました。
新しいブランドコンセプトは、パーパス、提供価値、個性の三つの要素で構成されています。パーパスは創業者精神を現代的に翻訳したものであり、りゅうせきグループが進むべき方向性を示しています。提供価値は、パーパスを体現するためにりゅうせきグループが提供する価値を明確にしたものです。そして個性は、組織全体の特徴やブランドとしての「らしさ」、りゅうせきグループとしての「ありたい姿」を定義したものです。
このブランドコンセプトの策定により、未来に向けて挑戦していくことを組織内外へ宣言しました。最終的に形にされたグループロゴは、このブランドコンセプトを視覚的に表現したものです。これにより、りゅうせきグループは今後も創業者の精神を踏襲しながら、持続可能な成長と地域社会への貢献を更に推進していくことを目指しています。
シンボルマークは、「幸せの原動力トルネード」というコンセプトに基づいてデザインされています。トルネード(旋風)の中心部分とRYUSEKIの頭文字「R」が重なり合い、人々や沖縄の島々、そして世界に向けて力強い旋風を巻き起こすイメージを表現しています。このデザインは、RYUSEKIが幸せの原動力であることを象徴しています。
ロゴタイプは、シンボルマークのカーブを踏襲したオリジナルの書体で描かれています。ラインに抑揚を持たせることで躍動感を強調し、未来への挑戦を象徴しています。シンボルマークと組み合わせることで、RYUSEKIのエネルギーと躍動感を一体的に表現しています。
シンボルマークに使用されている鮮やかな赤と、ロゴタイプの黒は、力強さや元気を与える明るい印象を強調すると同時に、シンプルな配色がスマートさを訴求しています。
社内では特にグループロゴに対する反応が非常にポジティブでした。多くの人から「幸せの原動力」をイメージしやすいという意見がありました。また、パーパス、提供価値、個性については、特に若手社員は前向きに受け止めています。彼らは「幸せの原動力」を合言葉のように使い、業務の変革や新しい取り組みを推進する際にこのフレーズを引用し、共通の目標に向かってポジティブに取り組んでいます。しかし、一部の社員からはさらに詳しい説明を求められています。過去のCIとは大きく異なる方向性を取っていることから、今後のインナーブランディングが極めて重要であると考えています。
社外からの反応も非常に大きく、ブランドコンセプトの刷新に際しては新聞記事にも取り上げられ、沖縄の経済界でも話題に挙がりました。新たなブランドコンセプトの下で新エネルギー関連の取り組みをこれまで以上に推進していることに加え、企業価値向上に向けたブランディングCMも並行して展開していることで新たなりゅうせきのイメージが認知されるようになったと感じています。
ブランドコンセプト一新から約1年が経過し、パーパス体現に向けた中期ビジョンを新たに制定し、そこに紐づく中期経営計画にもコンセプトが反映されるなど、会社全体の雰囲気が少しずつ変わってきていると感じています。
ブランドコンセプトの共感醸成にはまだまだ時間がかかりますが、CIの解釈が揺れている状況から、全員が同じ方向を向けるように調整し、100周年を目指すための基盤を築くことができました。一方で、これをどう実現していくか、そしてどう伝えていくかについては、高度な表現力が求められます。このため、今後も引き続きブランディングファームと広告エージェンシーとのパートナーシップを通じて、社内外にブランドコンセプトの共感醸成を図っていきます。将来、2050年にりゅうせきグループ100周年を迎えたとき、未来の後輩社員が歴史を振り返った際にこのブランドコンセプトの策定がターニングポイントだったと感じてくれればうれしい限りです。
大切に受け継がれてきた創業者の精神を土台にしつつ、未来志向で変革し、挑戦していこうという強いリーダーシップがありました。そして、次代を担う若い世代の社員の皆様には、沖縄のためにという強い想い、世界を見据えた事業への想い、そして何よりも良い未来を築きたいという熱い想いがありました。
その想いを受け取り、カタチにすることができた今回のプロジェクトでは、グラムコのバリューが明確に発揮されました。これからも、内外に向けた浸透や具現化に向けた取り組みを通じて、2050年の100周年に向けて末永くサポートしていきたいと思います。