山田 敦郎
代表取締役会長 |
BtoCにせよBtoBにせよ、様々な業種業態でブランド戦略が取り入れられるようになって四半世紀以上が経過します。今日、経営、戦略、組織、コミュニケーション、マーケティング、人事などに関わるあらゆるコンサルタントやサービサーが、ブランディングやブランド戦略を口にするようになりました。これだけ普及し、一般化し、常態化したことに、日本で初めてブランディングファームを名乗ったグラムコとしては喜びを感じる一方、一抹の不安も覚えています。本当にそれらはブランディングと呼べるものなのか、と。
ブランド戦略は20世紀終盤、「コーポレートブランド戦略」として、マーケティングにも精通する米国のデイビッド・A・アーカー(当時、カリフォルニア大学バークレー校教授)らが提唱したものです。それまでマーケティングの一部として、個別製品や個別カテゴリへの名付けや個別的イメージの開発として捉えられてきたプロモーショナルな作業が、ブランド構築だと思われていた時代でした。
アーカー教授や彼に並ぶ先駆者の意思を継ぐ後継者が大勢登場し、ブランディングは「マーケティングの一部」から分離独立して、一大戦略領域を築き上げました。その分すそ野も広がり、多くの人がブランドを語るようになったのです。
全てのマーケティング活動は「ブランド価値」を高めるためにある――。これが近年のマーケティングとブランドの関係です。多くの学者も、我々のような専門ファームも、そのように解釈しています。高度なマーケティング活動、或いは成功しているマーケティング施策で、価値を蓄える先としてのブランドの背景を整理し、基盤(ブランドコンセプト)を創り、言語化・可視化して、その本質をインターナル、エクスターナルにシェアしていく一連の活動。これをブランディングと呼んでいます。
マーケティングとブランディングの差異をこの側面から捉えなおすと、ブランディングとは、「自らがブランドとして如何に在るべきか」を明らかにし、マーケティングは「それを如何に売るべきか」追求する、という関係になります。
一部では、「モノやサービスの売り方」をブランディングと言っているサービサーもあり、このような混同も起こっているようです。
あなたの企業が何業であり、何を目論んで業を営んでいるのかも明確にしないまま、経営計画を立てることなど出来るでしょうか。この視点に立って、私たちグラムコが推進しているプロジェクト類型の1つが、パートナーのシーゲルゲールと一体となり提供する「グローバルブランディング」の構築です。
日本企業のブランドは、1960年代から80年代に掛けて、世界の中で名声をほしいままにしてきました。しかしその後バブル崩壊を経て、徐々に勢いと輝きを失って今日に至ります。
再び世界のブランドの頂きへ、或いは新たに生まれた企業には、世界に伍するブランドトップグループ入りを目指して、再興と前進を図る必要があります。
グラムコは、私たちのグローバルネットワークを駆使して、ジャパンブランドルネッサンスの旗振り役を続けていきたいと思っています。
グローバルブランディングにせよ、競争力強化と差異化のための事業ブランディングにせよ、地方創世の流れを生み出す地域ブランディングにせよ(グラムコは、東京都、沖縄県などの地域ブランド再構築にも協力しています)、それを決定づけるのは確かな戦略の遂行と、リーダーの決断です。
トップの意思を汲みながら、組織を動かし、共感する人たちをつくっていく。つまり、経営戦略としてのブランディングを遂行するための力強いサポートを、私たちグラムコは担当しているのです。
他と異なる何を提供しながら(提供価値)、どこをゴールとして目指すか(ビジョン)、それがどう社会のために役立つのか(ミッション)、それを成し遂げるにはどのような価値観で臨むのか(パーソナリティ)、そしてどのような姿でこれらを訴求するのか(スタイル)――我々は何者であり何を成すのかを「パーパス」という観点でまとめることもあります――。
さぁご一緒に、とことんブランドの根底的な在り様を詰めていきましょう。